ネット銀行のシェアはどう変化している?口座数・預金残高・企業利用の最新動向を解説

ネット銀行のシェアはどう変化している?口座数・預金残高・企業利用の最新動向を解説

「ネット銀行ってどのくらい使われているの?」と気になる方も多いでしょう。実は個人・法人ともにネット銀行の利用は拡大しており、銀行業界の勢力図にも変化が見られてい変わりつつあります。

本記事では、口座数・預金残高・企業のメインバンクシェアなどのデータをもとに、ネット銀行の最新動向をわかりやすく解説します。

ネット銀行の個人口座数の推移と現状

ネット銀行はこの10年で急速に普及し、個人口座数は大きく増加しています。スマホ完結型の利便性やポイント経済圏との連携を背景に、利用者層も拡大しています。

ここでは、口座数の推移と現在の市場規模について解説します。

主要ネット銀行の口座数は4,000万口座規模に拡大

国内の主要ネット銀行の口座数は、近年急速に増加しています。報道各社の発表によると、主要6行の合計口座数は2024年時点で約4,000万口座を超えており、わずか5年で約2倍に拡大しました。

これはスマートフォンの普及やキャッシュレス化の進展により、銀行サービスをオンラインで完結させるニーズが高まったことが大きな要因です。

また、ネット銀行は店舗を持たない分、手数料の低さや比較的高い金利といったメリットを打ち出しやすく、若年層を中心に利用者を増やしてきました。

さらに、証券口座やECサービスとの連携など、いわゆる「経済圏」の強化も口座数増加を後押ししています。こうした背景から、ネット銀行はすでにメガバンクに迫る規模へと成長しつつあり、金融業界における存在感を高めています。

楽天銀行をはじめ大手ネット銀行が口座数を伸ばしている

個別銀行の動向を見ると、特に大手ネット銀行の成長が顕著です。たとえば楽天銀行は、2024年に1,600万口座を突破し、その後も増加を続け、2026年には1,800万口座に達しています。

このような成長の背景には、楽天証券との連携やポイントサービスとの相乗効果があり、日常的に使う金融インフラとしての利用が広がっている点が挙げられます。

また、住信SBIネット銀行などほかの主要行も数百万〜数千万規模の口座を抱えており、ネット銀行全体として顧客基盤を拡大しています。

結果として、ネット銀行は「一部のユーザーが使うサービス」から「多くの人が利用する金融手段」へと位置づけが変化しています。

参考:
楽天銀行「楽天銀行、預金口座数が1,600万口座を突破」「楽天銀行、預金口座数が1,800万口座を突破
住信SBIネット銀行「住信SBIネット銀行、預金口座数800万口座突破のお知らせ

2つ目・3つ目の口座としての活用が広がっている

ネット銀行の普及を支えているもう一つの特徴が、「サブ口座」としての利用拡大です。従来のメインバンクとは別に、振込専用や貯蓄用、投資資金管理用など、目的別に複数口座を持つユーザーが増えています。

特にネット銀行は、振込手数料の無料回数や金利、アプリの使いやすさなどが強みであり、日常の資金移動や資産管理を効率化する手段として活用されています。実際、給与受取や口座振替といった機能を通じて、メイン口座として利用されるケースも増加しています。

このように、ネット銀行は単なる補助的な存在にとどまらず、生活インフラの一部として定着しつつあります。今後もサービスの高度化や金融連携の強化により、さらなる口座数の増加が見込まれるでしょう。

ネット銀行に預けられる資金の変化

ネット銀行は口座数の増加だけでなく、預け入れられる資金規模も大きく拡大しています。かつては少額利用が中心でしたが、現在では給与受取や生活資金の管理など、より中核的な役割を担うようになっています。

ネット銀行に預けられる金額は年々増加している

ネット銀行に預けられる預金残高は、ここ数年で大きく増加しています。

主要ネット銀行の預金残高は年々右肩上がりで推移しており、信金中央金庫 地域・中小企業研究所の資料でも、インターネット専業銀行の2025年3月末の預金残高が40兆円に届く位置にあることがわかります。

背景には、スマホで完結する利便性の高さに加え、振込手数料の優遇や比較的高い金利水準などがあり、預金の移動が進んでいることが挙げられます。

また、証券口座との連携や自動入出金サービスなどにより、資産運用と預金を一体的に管理できる点も資金流入を後押ししています。

こうした機能により、従来の「少額決済用口座」から「資産をまとめて預ける口座」へと役割が変化してきました。結果として、ネット銀行は預金量の面でも存在感を強めています。

給与受取や生活口座としての利用も広がっている

近年では、ネット銀行を給与受取口座や生活のメイン口座として利用する人も増えています。企業側でも振込先としてネット銀行を指定できるケースが増えており、給与振込の受け皿としての役割が拡大しています。

さらに、公共料金やクレジットカードの引き落とし、家計管理アプリとの連携など、日常生活の資金管理を一括で行える環境が整ってきたことも利用拡大の要因です。

ポイント還元やランク制度による優遇などもあり、継続的に資金を預けるインセンティブが働きやすくなっています。

このように、ネット銀行は「サブ口座」から「メイン口座」へと役割を広げており、預けられる資金規模の拡大にもつながっています。今後はさらに生活インフラとしての位置づけが強まると考えられます。

法人・企業のネット銀行利用シェアの変化

法人分野においてもネット銀行の存在感は急速に高まっています。かつては補助的な口座としての利用が中心でしたが、近年ではメインバンクとして選ばれるケースも増えています。ここでは企業における利用シェアの変化を解説します。

法人メインバンクとしてのネット銀行シェアは10年で約27倍に

企業のメインバンクとしてネット銀行を選ぶ割合は、この10年で大きく伸びています。帝国データバンクが公表している「全国企業「メインバンク」動向調査(2024)」によると、ネット銀行をメインバンクとする企業の割合は、2010年代前半と比較して約27倍に拡大しています。

もともとの比率は小さいものの、この伸び率は銀行選択の基準が大きく変化していることを示すものといえるでしょう。従来は都市銀行や地方銀行が中心でしたが、デジタル化の進展により、銀行選びの基準が変化していることが背景にあります。

特にネット銀行は、振込手数料の安さや即時振込への対応、会計ソフトとの自動連携など、業務効率化に直結する機能を強みとしています。これにより、スタートアップや中小企業を中心に導入が進み、メイン口座としての採用が増加しました。

また、オンラインで口座開設から各種手続きまで完結できる点も評価されており、従来の対面中心の銀行と比較してスピーディーな資金管理が可能です。こうした利便性を背景に、法人領域でもネット銀行のシェアは着実に拡大しています。

コロナ禍以降に法人のネットバンキング利用が加速

2020年以降のコロナ禍は、法人のネット銀行利用を一気に加速させる契機となりました。これは、外出制限やテレワークの普及により、銀行窓口に行かずに資金管理を行う必要性が高まったためです。

その結果、インターネットバンキングの利用頻度が増加し、ネット銀行の利便性が改めて評価されました。特に、リアルタイムでの残高確認や振込処理、複数担当者による承認フローなど、オンライン完結型の業務運用が企業にとって不可欠なものとなりました。

資金管理や決済用途でネット銀行を活用する企業が増加

現在では、ネット銀行は単なる補助口座にとどまらず、資金管理や決済の中心的な役割を担うケースも増えています。たとえば、売上入金専用口座や経費支払い用口座として使い分けることで、資金の流れを可視化しやすくなります。

また、振込手数料の低さや一括振込機能などにより、日常的な支払い業務の効率化にも寄与しています。さらに、会計ソフトとの連携により自動仕訳が可能となり、経理業務の負担軽減にもつながっています。

ネット銀行は企業の資金管理インフラとしての役割を強めており、今後も利用シェアの拡大が続くと考えられます。

ネット銀行のシェアが拡大している理由

ネット銀行は個人・法人ともに利用が広がり、金融業界における存在感を高めています。その背景には、コスト面の優位性やデジタル化への適応力など、従来の銀行にはない強みがあります。ここでは主な拡大要因を解説します。

手数料の安さとオンライン完結の利便性

ネット銀行が支持を集める最大の理由の一つが、手数料の安さと利便性です。

店舗を持たないビジネスモデルにより運営コストを抑えられるため、振込手数料やATM手数料を低水準に設定できます。さらに、口座開設や各種手続きがスマートフォンやパソコンで完結するため、来店の手間が不要です。

特に法人においては、振込業務や資金管理をオンラインで効率的に行える点が評価されており、業務効率化の観点から導入が進んでいます。こうしたコスト優位性と利便性の両立が、ネット銀行のシェア拡大を後押ししています。

ポイント経済圏・スマホ決済との連携による顧客囲い込み

ネット銀行の成長を支えているもう一つの要因が、ポイント経済圏との連携です。たとえば楽天銀行のように、ECや証券サービスと連動することで、日常生活の中で自然に利用される仕組みが構築されています。

また、スマホ決済やQRコード決済との連携により、支払い・送金・資産管理を一体的に行える環境が整っています。こうしたサービスの統合により、ユーザーは一つの経済圏内で完結した金融体験を得られるため、他行へ移行しにくくなる傾向があります。

結果として、顧客の継続利用が促進され、シェア拡大につながっています。

日銀利上げを追い風とした預金金利の優位性

近年の金融環境の変化も、ネット銀行の成長を後押ししています。特に日本銀行の利上げにより、各銀行の預金金利が見直される中、ネット銀行は相対的に高い金利を提示しやすい状況にあります。

もともとコスト構造の軽さから金利競争力を持っていたネット銀行は、利上げ局面においてその優位性がより明確になりました。これにより、預金先としてネット銀行を選ぶ動きが強まり、資金流入が加速しています。

このように、外部環境の変化も追い風となり、ネット銀行は従来の銀行と比較して競争力を高めています。

GMOあおぞらネット銀行のシェア拡大

GMOあおぞらネット銀行は、法人分野を中心に急速にシェアを拡大しているネット銀行の一つです。特にスタートアップや中小企業からの支持を背景に、メインバンクとしての地位を着実に高めています。

2025年8月に発表された東京商工リサーチのメインバンク調査では、同社は「メインバンクとしての増加率」で2年連続1位を獲得しています。これは全国160万社以上を対象とした調査であり、ネット銀行の中でも突出した成長を示す結果となりました。

実際に、メインバンクとして利用する企業数は2024年の約890社から、2025年には約1,958社へと拡大しており、短期間で大幅に増加しています。

この成長の背景には、振込手数料の安さや口座開設のスピード、外部サービスとの連携機能などの利便性の高さがあります。

また、国税や社会保険料の納付対応など、法人ニーズに応じた機能拡充も進められており、企業の実務に直結する価値を提供している点が評価されています。

さらに、2025年時点で法人口座数は20万件、預金残高は1兆円を突破するなど、規模面でも着実に成長しています。

このように、GMOあおぞらネット銀行は「使いやすさ」と「コスト優位性」を武器に、法人領域で急速に存在感を高めており、今後もネット銀行市場の中で重要な役割を担う存在となるでしょう。

参考:株式会社 東京商工リサーチ「2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

まとめ

ネット銀行は個人・法人ともに利用者数・預金残高・企業メインバンクシェアのいずれも急成長しています。手数料の安さ・高金利・24時間利用可能な利便性に加え、ポイント経済圏との連携や日銀の利上げの追い風もあり、今後もさらなる拡大が見込まれます。

こうした流れの中で、ネット銀行は単なる補助的な金融サービスではなく、個人・企業双方にとって重要な資金管理インフラへと位置づけが変化しつつあります。今後は各行のサービスや強みを踏まえ、自社や自身の利用目的に応じた選択がより重要になっていくでしょう。

他の記事を見る