会社の作り方とは?会社設立の手順・費用・形態の選び方をわかりやすく解説

法人を設立するには、会社形態の選択から定款作成・登記申請・設立後の各種届出まで、一定の手順と費用がかかります。
本記事では、法人の作り方を設立前の形態選びから設立後の手続きまでステップ別にわかりやすく解説します。
法人とは?個人事業主との違いを理解する

法人を設立する前に、「法人とは何か」「個人事業主との違いは何か」を理解しておくことが大切です。これを把握することで、法人化するメリットと適切なタイミングを判断しやすくなります。
法人とは「登記によって設立された法的な組織」のこと
法人とは、法律によって権利能力を与えられた組織体のことです。株式会社・合同会社・一般社団法人などが代表例です。
法人は自然人(個人)と同様に、財産を所有したり契約を締結したりする法的な主体として認められています。法務局への登記申請が完了した時点で法人として正式に成立し、登記事項証明書が取得できるようになります。
法人は設立者(出資者)とは別の独立した存在であるため、出資者が変わっても事業は継続されます。これが「事業の継続性」という点で個人事業主と大きく異なるところです。
個人事業主との主な違い(信用力・節税・社会保険)
個人事業主は開業届を税務署に提出するだけで事業を始めることができますが、法人は登記申請や各種届出が必要で、設立費用もかかります。
主な違いは①信用力、②節税の幅、③社会保険の3点です。法人は取引先や金融機関からの信用力が高く、融資・与信審査でも有利に働きます。また、役員報酬・経費範囲・退職金設計など節税の手段が個人事業主より幅広く取れます。
社会保険については、法人化すると原則として健康保険・厚生年金への加入義務が生じます。従業員を雇用する場合は特にこの点を事前に把握しておきましょう。
法人化するタイミングの目安(売上・節税効果の観点)
一般的に「年間売上が1,000万円を超えてきたとき」や「所得が700万〜800万円を超えてきたとき」が法人化を検討する目安とされています。これは消費税の課税事業者になるタイミングや、法人税と所得税の税率が逆転するラインと重なることが多いためです。
また、法人化のタイミングを見誤ると設立後すぐに消費税の課税対象になってしまうケースもあります。税理士に相談しながら、節税効果と設立コストのバランスを見極めることをおすすめします。
法人の種類と自分に合った会社形態の選び方

日本には複数の法人形態があります。それぞれの特徴を理解した上で、自分のビジネスに合った形態を選びましょう。
株式会社
株式会社は最も一般的な法人形態です。株式を発行して出資を受け、株主(出資者)と経営者(取締役)を分離できる仕組みが特徴です。
社会的な信用力が高く、取引先や金融機関からの評価も得やすい形態です。株式上場(IPO)を目指す場合は株式会社が前提となります。設立費用は合同会社より高く、定款認証費用・登録免許税・公証人手数料などを合わせると実費で約20〜25万円かかります。
合同会社
合同会社(LLC:Limited Liability Company)は2006年の会社法改正で導入された比較的新しい法人形態です。定款認証が不要なため設立費用が安く(実費約10万円)、設立手続きも株式会社より簡易です。
出資者(社員)全員が業務執行権を持つことができ、利益分配も出資比率に縛られず自由に設定できます。ただし、株式の発行ができないため、投資家から出資を受けてスケールを目指す場合には不向きです。
合名会社・合資会社
合名会社は出資者全員が無限責任を負う形態で、合資会社は無限責任社員と有限責任社員が混在する形態です。いずれも現代では設立されるケースは少なく、ほとんどの起業家は株式会社か合同会社を選択します。
株式会社と合同会社どちらを選ぶべきか
コストを抑えて素早く設立したい場合や、家族経営・少人数での運営を想定する場合は合同会社が向いています。取引先の信用確保・将来的な外部調達・IPOを視野に入れる場合は株式会社が適しています。
事業規模が大きくなれば合同会社から株式会社への組織変更(種類変更)も可能ですが、手続きと費用が発生します。最初から将来の事業計画を見据えた形態を選ぶことが重要です。
現状では、年々合同会社の設立件数も増加しており、特にITやコンテンツビジネスなど、外部調達の優先度が低い事業では合同会社が積極的に選ばれています。
Amazonジャパン・Apple Japan・Google合同会社など大手外資系企業も日本法人として合同会社を採用しており、合同会社の認知度と信頼性は年々高まっています。
法人を作る前に決めておくべき基本情報

法人設立の手続きを始める前に、以下の基本情報を決定しておく必要があります。これらは定款に記載する内容であり、後から変更する際には手続きと費用が発生するため、慎重に検討しましょう。
会社名(商号)の決め方と注意点
商号はビジネスの顔となる重要な要素です。同一の住所に同一の商号は登記できないため、法務局で商号調査を行いましょう。
商号には「株式会社」または「合同会社」の文言を含める義務があります。ローマ字や数字を含めることもできますが、特殊記号の使用には制限があります。
商号調査は国税庁の法人番号公表サイトや法務局のインターネット登記情報提供サービスで行えます。類似商号があっても登記自体は可能ですが、不正競争防止法の観点から既存企業のブランドに類似した商号は避けた方が安全です。
事業目的の書き方(定款に記載する内容)
定款に記載する事業目的は、会社として行う事業内容を明確にするものです。将来行う可能性のある事業も含めて広めに記載しておくと、後から定款変更の手間が省けます。
許認可が必要な業種(建設業・宅建業・飲食業等)は、許認可の条件を満たす事業目的の記載が求められる場合があります。許認可申請と合わせて確認しておきましょう。
本店所在地(自宅・バーチャルオフィス・レンタルオフィス)
本店所在地は法人の住所として登記される場所です。自宅・バーチャルオフィス・レンタルオフィスのいずれかを選べます。銀行口座開設の審査では本店所在地の実態確認が行われることがあります。
バーチャルオフィスは審査が厳しくなる場合がありますが、ネット銀行ではバーチャルオフィスでも対応できるケースが増えています。
資本金の決め方(最低1円だが現実的な目安)
現在の会社法では資本金1円から株式会社・合同会社を設立できます。ただし、資本金は事業開始当初の運転資金であり、あまりに少額だと取引先や銀行からの信用に影響します。
一般的には、設立後6ヶ月〜1年程度の運転資金相当額(100万〜1,000万円程度)を目安に資本金を設定することが推奨されます。
なお、資本金1,000万円未満で設立した場合、設立初年度と翌年度の消費税が免除される消費税の免税事業者となるメリットがあります。資本金の設定は節税観点からも慎重に検討しましょう。
会計年度・役員構成・株主構成
会計年度は任意の期間(通常12ヶ月)で設定できます。繁忙期を決算月に避けると作業負担が軽減されます。役員は最低1名(取締役)から設定可能で、株主(出資者)は創業者1人でも問題ありません。
法人の作り方【ステップ別】設立の流れと手順

ここでは株式会社を例に、5つのステップで設立手順を解説します。合同会社の場合はSTEP3(公証役場での定款認証)が不要で、手続きがより簡易になります。
各ステップの内容を事前に把握し、必要書類や費用を準備してから手続きを進めることで、スムーズな設立が実現します。
STEP1:法人用の実印(法人印)を作成する
法人設立には法人用の実印(会社実印・代表者印)が必要です。設立登記申請書への捺印や法的な契約書での使用に必要なため、登記申請前に準備しておきましょう。
法人印のセットとして「代表者印(丸印)・角印(住所印)・銀行印」の3点が一般的に用意されます。素材によって費用は異なりますが、インターネットで注文すれば1万〜3万円程度で揃えることができます。
法人印は受注から納品まで数日かかることが多いため、登記申請の予定日から逆算して早めに発注しておくことをおすすめします。
STEP2:定款を作成する(電子定款なら3.5万円お得)
定款とは会社の基本的なルールを定めた文書で、商号・事業目的・本店所在地・資本金・役員に関する規定などが記載されます。
定款は「紙の定款」と「電子定款」の2種類があります。紙の定款には4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款では収入印紙が不要となり、公証役場の認証手数料のみ(約3万円)で済むため3.5万円の節約になります。
電子定款は専用のソフトウェアやクラウドサービス(freee会社設立・マネーフォワード クラウド会社設立など)を使って作成でき、公証役場への電子申請も可能です。費用対効果の面から電子定款の活用が推奨されます。
定款は会社設立後の運営ルールの根拠となる重要な書類です。事業内容・役員任期・株主の議決権など、将来のトラブルを防ぐ観点からも、内容を慎重に検討して作成することが大切です。
市販の定款テンプレートを参考に作成することもできますが、事業の特性に応じたカスタマイズが必要な場合は司法書士や弁護士への相談をおすすめします。
STEP3:公証役場で定款の認証を受ける(株式会社のみ)
株式会社の定款は、公証役場で公証人による認証を受ける必要があります。公証役場は本店所在地と同じ都道府県内のものを利用します。
認証に必要な費用は「公証人手数料(約5万円)+謄本交付費用(約2,000円)」です。電子定款の場合は収入印紙代4万円が不要になる点は前述の通りです。
認証当日は代表者本人(または委任状を持った代理人)が公証役場に出向き、定款の内容確認と認証を受けます。近年はオンラインでの定款認証も一部の公証役場で対応しています。
STEP4:資本金を払い込む
定款認証後、設立者の個人口座(代表者または発起人の口座)に資本金を払い込みます。法人口座はこの時点ではまだ存在しないため、設立前の個人口座を使うことになります。
払い込み後は通帳の該当ページのコピー(払込証明書として使用)が必要です。インターネットバンキングのみを利用している場合は、取引明細の印刷で代用できる場合があります。
STEP5:法務局で設立登記を申請する
設立登記の申請は、本店所在地を管轄する法務局(登記所)に対して行います。申請書・定款・出資金払込証明書・印鑑届出書などの必要書類を揃えて提出します。
登記申請には登録免許税がかかります。株式会社の場合は資本金の0.7%(最低15万円)、合同会社の場合は資本金の0.7%(最低6万円)です。
設立登記はオンライン申請(法務局の登記・供託オンライン申請システム)でも行えます。法務局に持参する場合は、受付時間(通常平日9時〜17時)に注意が必要です。
申請から登記完了まで通常1〜2週間程度かかります。申請から登記完了日が会社の設立日になります。登記完了後は、すべての設立手続きが正式に終了します。
設立日を特定の日(例:1日や縁起の良い日)に合わせたい場合は、その日に登記申請が受理されるように逆算してスケジュールを組む必要があります。法務局の窓口受付時間は平日の9時〜17時のため、前日までに書類を整えておきましょう。
登記完了後に登記事項証明書を取得する
登記が完了したら、法務局で登記事項証明書(いわゆる「謄本」)を取得しましょう。銀行口座開設・各種届出・取引先への提出など多くの場面で必要になります。費用は1通600円(窓口)です。
法人設立にかかる費用の目安

法人設立には、公的な手続きにかかる実費(法定費用)と、専門家への報酬などの追加費用があります。事前に全体のコストを把握しておきましょう。
株式会社の設立費用(実費で約20〜25万円)
株式会社の実費は、定款認証費用(公証人手数料約5万円+謄本約2,000円)・収入印紙(電子定款なら不要)・登録免許税(最低15万円)・印鑑作成費(1〜3万円)を合計すると約20〜25万円が目安になります。
電子定款を活用することで4万円の収入印紙代が節約できます。費用を抑えたい場合は電子定款の活用が必須と考えておきましょう。
合同会社の設立費用(実費で約10万円)
合同会社では公証役場での定款認証が不要なため、株式会社より費用を抑えられます。登録免許税(最低6万円)・印鑑作成費(1〜3万円)・収入印紙(電子定款なら不要)を合わせると約10万円が実費の目安です。
起業コストを最小化したい場合は合同会社が有力な選択肢です。コストと信用力・将来計画のバランスを考慮して選択しましょう。
司法書士・税理士に依頼する場合の追加費用
設立書類の作成や登記申請を司法書士に依頼する場合は、5万〜10万円程度の報酬が別途かかります。設立後の税務申告や会計処理を税理士に依頼する場合も同様にコストが発生します。
クラウド型の設立サービスを使えば、比較的低コストで書類作成がサポートされます。初めての法人設立で不安がある方は、部分的に専門家を活用するのがバランスの良い方法です。
設立後の会計・税務処理を税理士に依頼する場合、設立前から相談しておくと会計年度・役員報酬・経費の設定などをトータルで最適化してもらえます。設立と同時に税理士を選ぶことをおすすめします。
法人設立後に必要な手続き

登記が完了しても、事業を開始するために必要な手続きはまだあります。以下の項目を漏れなく対応することが、事業のスムーズなスタートにつながります。
税務署への各種届出(法人設立届出書・青色申告承認申請書など)
設立から2ヶ月以内に、管轄の税務署へ「法人設立届出書」を提出する必要があります。合わせて「青色申告の承認申請書」(提出期限は設立後3ヶ月以内または最初の事業年度終了日の前日)も提出することで、欠損金の繰越など青色申告の特典が受けられます。
また、役員報酬の支払いが始まる場合は「給与支払事務所等の開設届出書」、消費税の課税事業者になる予定がある場合は「消費税課税事業者選択届出書」なども必要に応じて提出します。
これらの届出を怠ると、税務上の特典が受けられなかったり、後から遡って手続きができなかったりする場合があるため、設立直後に一括して対応することをおすすめします。
都道府県・市区町村への届出
税務署への届出と並行して、本店所在地の都道府県・市区町村の税務担当窓口にも「法人設立届出書」の提出が必要です。
自治体によって提出書類の様式が異なります。登記事項証明書のコピーや定款のコピーを添付するよう求められるケースがほとんどです。
社会保険・労働保険の加入手続き
法人は設立と同時に、健康保険・厚生年金への加入が原則義務となります。年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を設立後5日以内に提出する必要があります。
従業員を雇用する場合は、労働保険(雇用保険・労災保険)への加入も必要です。ハローワーク・労働基準監督署への届出が必要となります。未加入のまま事業を行うと、後から追徴が発生する場合があるため、早めに手続きを進めましょう。
社会保険の手続きは設立後5日以内という期限が定められています。特に役員(代表者)報酬を設定する場合は最優先で対応が必要です。
法人用の銀行口座開設
法人口座の開設は、事業の信頼性確保と個人財産・法人財産の分離のために、設立直後に行うべき最重要手続きのひとつです。
取引先への代金受取・仕入れ代金の支払い・給与振込など、法人としての入出金はすべて法人口座を通じることが経理管理の基本です。個人口座と混在させると、税務調査時に問題になる可能性があります。
都市銀行での法人口座開設は審査が厳格で、設立直後の法人では開設できないケースもあります。ネット銀行は審査基準が異なる場合があり、設立直後の法人でも申し込みやすい選択肢として注目されています。
名刺・会社案内・ホームページの準備
法人口座開設の審査でも事業の実態確認が行われるため、ウェブサイトと名刺・会社案内を早期に整備することが有効です。ウェブサイトには会社概要・事業内容・連絡先を最低限掲載しましょう。
ウェブサイトはWordPressやノーコードツールを使えば低コストで構築できます。設立後1〜2週間以内に公開することを目標に、登記申請と並行してコンテンツを準備しておくと効率的です。
法人設立後の銀行口座開設にはGMOあおぞらネット銀行がおすすめ
法人設立後に行う手続きの中でも、法人口座の開設は特に重要です。都市銀行・地方銀行での法人口座審査は設立直後の法人に対して厳しいケースもありますが、ネット銀行では審査基準が異なる場合があり、より申し込みやすい環境が整っています。
振込手数料の安さで創業期のコストを削減できる
GMOあおぞらネット銀行の法人口座は、他行宛振込手数料が最大月20回まで無料になります。創業期は特に資金効率が重要なため、月々の手数料コストを抑えられる点は大きなメリットです。
振込件数が多いスタートアップほど、振込手数料の差が年間ベースで数万円規模のコスト削減につながることがあります。
オンライン完結・来店不要で設立直後でもすぐに申し込める
GMOあおぞらネット銀行の法人口座開設はオンラインで完結し、書類の郵送や銀行窓口への来店が不要です。設立後すぐにスマートフォンから申し込みを始められるため、忙しい創業期の時間を有効活用できます。
申込に必要な書類も代表者の本人確認書類と事業内容が分かる書類の2点と最低限に絞られており、準備の負担が少ない点も選ばれる理由のひとつです。
API連携・ビジネスデビットカードで業務効率化
GMOあおぞらネット銀行は会計ソフトとのAPI連携に対応しており、入出金データの自動取込・仕訳の自動化が可能です。少人数で運営するスタートアップの経理業務を大幅に効率化できます。
ビジネスデビットカードも発行可能で、カード利用でのキャッシュバックも受けられます。
また、GMOあおぞらネット銀行は個人口座・個人事業主口座・法人口座のすべてに対応しています。個人としてGMOあおぞらを使い始め、法人化の際もそのままGMOあおぞらの法人口座を開設できるため、「個人でも法人でもGMOあおぞら」として事業の成長段階に合わせてシームレスに活用できます。
まとめ
法人を作るには、まず会社形態(株式会社か合同会社か)を選び、商号・事業目的・資本金などの基本情報を決定した後、定款作成・公証役場での認証(株式会社のみ)・資本金払込・法務局への登記申請という流れで進めます。
設立にかかる実費は株式会社で約20〜25万円、合同会社で約10万円が目安です。
設立後は税務署への届出・社会保険加入・法人口座開設など忘れずに手続きを進めましょう。
特に法人口座は事業の信頼性確保と経理の効率化のために早期に開設することをおすすめします。GMOあおぞらネット銀行の法人口座はオンラインで申し込みができ、設立直後の法人にも使いやすい環境が整っています。





