法人の登記簿謄本(登記事項証明書)とは?4種類の違い・必要なタイミング・取得方法と費用を徹底解説

法人の登記簿謄本(登記事項証明書)とは?4種類の違い・必要なタイミング・取得方法と費用を徹底解説

法人を設立すると、金融機関での口座開設・融資・許認可申請など、さまざまな場面で「登記簿謄本(登記事項証明書)」の提出を求められます。登記簿謄本には4種類あり、どれを取得すべきか迷う経営者も多いでしょう。

本記事では、法人の登記簿謄本の定義・登記事項証明書との違い・4種類の使い分け・記載内容・必要なタイミング・取得方法と費用・有効期限まで、設立直後の法人経営者にわかりやすく解説します。

目次

法人の登記簿謄本とは|登記事項証明書との違い

「登記簿謄本」という言葉は広く知られていますが、正式名称・法的な位置づけ・登記事項証明書との関係について正しく理解している方は意外と少ないです。まず基本的な定義を確認しましょう。

登記簿謄本は法人の存在と現況を証明する公的書類

登記簿謄本は、法務局(登記所)が管理する商業登記記録の内容を証明した公的書類です。会社の商号・所在地・代表者・設立年月日・資本金・事業目的などが記載されており、法人の存在と現況を第三者に対して正式に証明する役割を担います。

金融機関・行政機関・取引先などが「本当に実在する法人か」「どのような経営者・事業目的を持つ法人か」を確認するために広く利用されます。個人でいえばマイナンバーカードや住民票に相当する、法人にとって最も基本的な証明書のひとつです。

「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は同じもの

「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は実質的に同じ書類です。かつては紙の登記簿に記載された内容をそのまま写し取った書類を「謄本」と呼んでいたことから「登記簿謄本」という名称が定着しました。

2000年代以降に登記情報の電子化が完了したことで、「紙の登記簿から写す」という行為自体がなくなり、コンピュータ上の登記情報を証明する書類に変わりました。現場では今でも「登記簿謄本」という言葉が通用することが多く、法務局の窓口で「登記簿謄本をください」と言えば対応してもらえます。

電子化により現在は「登記事項証明書」が正式名称

登記情報の電子化に伴い、法律上の正式名称は「登記事項証明書」に変更されています。法務局の申請書類や法令条文では「登記事項証明書」と記載されており、この名称を覚えておくと手続きがスムーズです。なお内容・効力はまったく同じであり、どちらの呼び方でも通じます。

法人の登記事項証明書(登記簿謄本)の4種類と使い分け

登記事項証明書には4つの種類があります。提出先から「種類の指定」がある場合はそれに従い、指定がない場合は後述の選び方ガイドを参考にしてください。

種類記載内容主な用途
①現在事項全部証明書現在有効な登記情報のみ現在の会社情報の確認・一般的な提出
②履歴事項全部証明書現在情報+直近約3年の変更履歴口座開設・融資・許認可申請(最も汎用性が高い)
③閉鎖事項証明書抹消・閉鎖された過去の登記情報過去の登記情報確認・M&A・訴訟対応
④代表者事項証明書代表者の氏名・住所・商号等に特化代表者確認のみ必要な場面・契約締結

①現在事項全部証明書:請求日時点の有効な情報のみ記載

現在事項全部証明書は、請求日時点で現在有効な(抹消・閉鎖されていない)登記情報のみが記載される証明書です。変更・抹消された過去の情報は含まれないため、現在の会社情報だけをシンプルに確認するのに適しています。

たとえば現在の代表者・商号・所在地・資本金を確認したい場合に活用できます。ただし過去の変更履歴が含まれないため、変更前後の経緯の確認が必要な手続き(融資審査・許認可申請等)では不十分なケースがあります。

②履歴事項全部証明書:現在情報+直近約3年分の変更履歴を記載

履歴事項全部証明書は、現在有効な登記情報に加えて、直近約3年間の変更・抹消の履歴も含まれた証明書です。4種類の中で最も汎用性が高く、実務でよく使われる書類です。

法人口座の開設・銀行融資の申し込み・行政機関への許認可申請・社会保険加入手続きなど、法人が関わる多くの公的手続きでは「履歴事項全部証明書」の提出が求められます。提出先から特に種類の指定がない場合は、この書類を取得しておけばほぼすべての場面で対応できます。

③閉鎖事項証明書:抹消・閉鎖された過去の登記情報を記載

閉鎖事項証明書は、すでに抹消または閉鎖された過去の登記情報が記載された証明書です。商号変更・本店移転・組織変更・解散などが行われた際に、変更前の情報を確認したい場合に使用します。

一般的な法人設立直後の手続きではほとんど使いません。M&A(買収・合併)に伴うデューデリジェンス・相続に関わる法的手続き・民事訴訟・過去の登記内容の確認が必要な場面で取得します。設立間もない法人の経営者が日常的に使う書類ではありませんが、存在を知っておくと安心です。

④代表者事項証明書:代表者の氏名・住所・商号・法人番号に特化

代表者事項証明書は、会社全体の登記情報ではなく、代表者(代表取締役・代表社員等)の氏名・住所・商号・法人番号といった代表者に関する情報だけが記載された証明書です。

契約書の締結に際して相手方が代表者の存在を確認したい場合・公証役場での手続き・不動産売買の際に売主または買主の代表者を特定する場合など、会社全体の情報は不要で代表者情報だけが必要な場面で利用します。枚数・費用を抑えられる場合があります。

用途別|どの種類を取得すべきか選び方ガイド

提出先から特に指定がない場合は「②履歴事項全部証明書」を選択するのが最も無難です。金融機関・行政機関・取引先のほとんどの手続きで対応できます。

代表者確認のみ必要な場面では「④代表者事項証明書」、現在の状況の簡易確認は「①現在事項全部証明書」、過去の登記情報が必要なケースは「③閉鎖事項証明書」という使い分けが基本です。複数の手続きを同時に進める場合は、履歴事項全部証明書を複数枚まとめて取得しておくと効率的です。

法人の登記事項証明書に記載される主な内容

登記事項証明書に何が記載されているかを把握しておくと、必要な書類の準備やどの種類を取得すべきかの判断がスムーズになります。

商号(社名)・本店所在地

法人の正式な商号(社名)と本店所在地(登記上の住所)が記載されます。履歴事項全部証明書の場合、商号変更・本店移転が行われた場合は変更前の情報も記載されます。

商号・所在地は法人の基本情報であり、取引先や金融機関が最初に確認する情報です。登記上の表記が正確に記載されているため、契約書や各種申請書への法人名・住所の転記にも活用できます。

会社設立年月日・会社法人等番号

会社が設立された年月日と、12桁の「会社法人等番号」が記載されます。設立年月日は法人の歴史の起点となる情報で、各種補助金申請や取引先との契約で確認されることがあります。

会社法人等番号は登記識別情報として機能し、マイナンバーの法人版である「法人番号(13桁)」とは別のものです。登記手続きでは会社法人等番号、税務・行政手続きでは法人番号が使われる場面が多いため、両者の違いを理解しておきましょう。

事業目的・発行可能株式総数・資本金

会社が行う事業内容(定款の事業目的)が列挙されます。融資審査や許認可申請では事業目的の内容が審査の対象になるため、将来行う可能性のある事業も事前に事業目的に含めておくことをおすすめします。

株式会社の場合は発行可能株式総数・発行済株式の総数・株式の種類も記載されます。資本金の額は会社の財務的な基盤を示す情報として金融機関や取引先が参照します。

役員(取締役・代表取締役・監査役等)の氏名・住所

取締役・代表取締役・監査役(監査役設置会社の場合)などの役員の氏名・住所・就任年月日が記載されます。代表取締役については代表権があることが明記されるため、契約締結権限の確認に活用されます。

役員の任期満了・重任・辞任・解任があった場合は、その事由と日付も履歴として記載されます。役員情報は法人の意思決定者を特定する重要な情報であり、与信調査・契約相手の確認などで頻繁に参照されます。

変更・抹消された過去の登記情報

履歴事項全部証明書には、商号変更・本店移転・資本金増減・役員変更などの変更履歴が、抹消・閉鎖された記録として記載されます。「いつ、どのような変更があったか」を確認できるため、法人の経緯を把握する際に役立ちます。

法人の登記簿謄本が必要になる主なタイミング

登記事項証明書の提出が求められる主な場面をまとめました。設立直後から提出機会が多いため、必要になったタイミングで迅速に取得できる準備をしておくことが重要です。

①法人口座の開設・融資の申し込み

法人口座の開設時には、多くのメガバンク・地方銀行・信用金庫が登記事項証明書(多くの場合「履歴事項全部証明書」)の提出を求めます。法人の実在確認・代表者確認・事業内容確認のために使用されます。

銀行融資(運転資金融資・設備投資融資等)の申し込みでも同様に求められるケースが多く、複数の金融機関に申し込む場合は複数枚の取得が必要になります。設立直後に複数枚まとめて取得しておくと手続きをスムーズに進められます。なお一部のネット銀行では登記事項証明書が不要な場合もあります。

②社会保険・労働保険の加入手続き

役員や従業員を雇用する場合、健康保険・厚生年金保険の新規適用届(年金事務所または健康保険組合へ提出)、雇用保険・労災保険の加入手続き(ハローワーク・労働基準監督署へ提出)が必要です。

これらの手続きでも法人の実在確認のために登記事項証明書の提出が求められることがあります。提出先・手続きの種類によって原本が必要か写しでよいかが異なるため、事前に確認してから取得枚数を決めましょう。

③許認可申請

飲食業(食品衛生法)・建設業(建設業許可)・人材派遣業(労働者派遣事業許可)・古物商(古物営業許可)・宅建業(宅地建物取引業免許)など、特定の業種で事業を行う場合は許認可の取得が必要です。

許認可申請の際にはほぼ必ず登記事項証明書の提出が求められます。許認可の種類によって求められる種類(現在事項か履歴事項か)や通数・発行後の経過期間の指定が異なるため、申請先の機関に事前に確認することをおすすめします。

④新規取引先との契約・与信調査

初めて取引する企業からは、与信調査(信用調査)の一環として登記事項証明書の提出を求められる場合があります。会社の基本情報・代表者・事業内容を正確に確認するためです。公共事業の入札・官公庁との取引では必須書類となるケースがほとんどです。

⑤税理士への決算申告依頼・各種変更登記

顧問税理士・公認会計士との契約開始時に、法人の基本情報確認のために登記事項証明書を提出するよう求められるケースがあります。また役員変更・本店移転・商号変更・資本金増減などの変更登記申請時にも、当該手続きの申請書類のひとつとして使用します。

登記事項証明書の取得方法と費用比較

登記事項証明書は3つの方法で取得できます。それぞれの費用・所要日数・手続きの手間を比較して、状況に応じた最適な方法を選んでください。

取得方法費用(1通)受取までの日数特徴・注意点
法務局窓口600円即日全国どの法務局でもOK。その場で受け取れる
郵送申請600円+送料1週間前後返信用封筒・収入印紙同封が必要
オンライン(書類郵送)480円〜2〜3日24時間申請可・窓口より安い・「登記ねっと」を使用
オンライン(電子証明書)380円〜即時PDF形式。提出先によっては不可なので要確認

取得方法①:法務局の窓口で申請

全国の法務局または登記所の窓口で「登記事項証明書交付申請書」を提出することで取得できます。申請書には法人名(または法人番号)・取得したい種類・通数を記入します。費用は1通600円(収入印紙で支払い)で、申請後その場で受け取ることができます。

法人の本店所在地の管轄法務局でなくても、全国どの法務局でも取得できる点が便利です。当日すぐに必要な場合に最適な方法です。受付時間は平日の8時30分〜17時15分(全国共通)です。

取得方法②:郵送で申請

法務局への郵送申請でも取得できます。「登記事項証明書交付申請書」(法務局のウェブサイトからダウンロード)と必要枚数分の収入印紙(1通600円)を封筒に入れ、返信用封筒(切手貼付・宛先記入済み)とともに管轄法務局に郵送します。

証明書が手元に届くまで通常1週間前後かかります。急ぎでない場合や、法務局が遠くて出向くのが難しい場合に利用しやすい方法です。郵便事故のリスクを避けるため、簡易書留での発送をおすすめします。

取得方法③:登記・供託オンライン申請システムを利用

法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を利用してインターネットから申請できます。費用は1通480円〜(送付方法によって異なる)と窓口・郵送より安くなります。

パソコンまたはスマートフォンから24時間申請でき、平日昼間に法務局に出向く手間を省けます。証明書は郵送で受け取る方法(書面)と、PDF形式の電子証明書で受け取る方法があります。電子証明書の方が費用をさらに抑えられますが、提出先によっては電子証明書が認められないケースがあるため事前確認が必要です。

オンライン申請の具体的な手順

①法務省「登記ねっと」のウェブサイト(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/)にアクセスし、利用者登録を行います。②申請用総合ソフト(かんたん証明書請求)をダウンロードしてインストールします。

③申請書で法人名・法人番号・証明書の種類・通数・送付先を入力します。④手数料をインターネットバンキング(Pay-easy)またはATMで電子納付します。⑤申請完了後、数日以内に指定した住所に証明書が届きます(書面送付の場合)。初回利用時には利用者登録の手間がかかりますが、2回目以降はよりスムーズに申請できます。

取得に必要なもの・申請書の書き方

窓口・郵送の場合は「登記事項証明書交付申請書」(法務局ウェブサイトよりダウンロード可)・収入印紙・法人名または法人番号が必要です。申請書の「会社・法人の商号・名称」欄に正式な法人名を、「取得したい証明書の種類」欄に①〜④のいずれかにチェックを入れます。オンライン申請は利用者登録とインターネット環境が必要です。

登記事項証明書の有効期限と注意点

登記事項証明書には法律上定められた有効期限はありません。しかし実務では、提出先が独自に「発行から〇ヶ月以内」という期限を設けているケースが多いため、取得のタイミングに注意が必要です。

有効期限は提出先によって異なる

法務局が発行した登記事項証明書自体には法的な有効期限はありませんが、金融機関・行政機関・取引先のほとんどは「発行から3ヶ月以内」を目安の有効期間として設けています。銀行口座の開設申し込みや融資審査では「発行後3ヶ月以内のもの」と明示されているケースが多いです。

手続きを進める際は、手続き開始の直前に登記事項証明書を取得することをおすすめします。複数の手続きを同時進行させる場合は、すべての手続きが3ヶ月以内に完了できるかを見込んで取得しましょう。長期にわたる手続きでは途中で再取得が必要になることがあります。

変更登記申請中は過去の謄本が確認できなくなる点に注意

役員変更・商号変更・本店移転などの変更登記申請を法務局に提出してから、登記処理が完了するまでの期間(通常1〜2週間程度)は、登記情報が変更途中の状態になります。

この期間中に取得した証明書は変更前の情報が記載されているため、変更後の正確な情報が必要な手続きには使えません。変更登記を予定している場合は、登記完了後を待ってから証明書を取得することをおすすめします。なお登記の完了状況は法務局の窓口または「登記情報提供サービス(有料)」で確認できます。

法人口座開設なら登記事項証明書不要のGMOあおぞらネット銀行がおすすめ

法人口座の開設では多くの金融機関が登記事項証明書の提出を求めます。ところがGMOあおぞらネット銀行では登記事項証明書が不要です。設立直後の忙しい時期でも、最小限の書類でスムーズに法人口座を開設できます。

必要書類は代表者の本人確認書類と事業内容が分かる書類の2点のみ(登記事項証明書不要)

GMOあおぞらネット銀行の法人口座開設に必要な書類は「代表者の本人確認書類」と「事業内容がわかる書類」の2点のみです。メガバンク・多くの地方銀行で提出が求められる登記事項証明書(履歴事項全部証明書)は不要です。

登記事項証明書の取得には法務局への申請・費用(1通600円〜)・数日〜1週間の時間がかかります。これらがすべて不要になるため、口座開設の手続きにかかる書類収集の手間・費用・時間を大幅に削減できます。設立直後でも最短のスケジュールで法人口座を準備できます。

オンライン完結・最短当日開設で設立直後でもスムーズ

GMOあおぞらネット銀行の口座開設はすべてオンラインで完結します。来店不要・書類2点・登記事項証明書不要という条件が揃っているため、設立直後の忙しい時期でも素早く法人口座を準備できます。

法人設立後は、税務署への届出・社会保険の加入・許認可申請・取引先との契約など、多くの手続きが並行して発生します。法人口座の開設は設立直後に最優先で対応することで、事業開始をスムーズに進められます。

振込手数料の安さと複数口座(法人向け)で資金管理を効率化

GMOあおぞらネット銀行は他行宛振込手数料が業界最安水準です。法人の運営では取引先への支払い・社会保険料の納付・役員報酬の振込など、月々の振込件数が増えがちです。振込手数料の差は積み重なることで年間の運営コストに実質的な差が生まれます。

法人向けの複数口座機能を活用して運転資金用・納税積立用などを用途別に管理でき、会計ソフトとのAPI連携で入出金データを自動取り込みできます。

まとめ

法人の登記簿謄本(登記事項証明書)は、法人の存在と現況を証明する公的書類で、法務局で取得できます。「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は実質的に同じものを指し、現在は後者が正式名称です。

種類は現在事項全部証明書・履歴事項全部証明書・閉鎖事項証明書・代表者事項証明書の4種類があり、提出先から指定がない場合は履歴事項全部証明書を選ぶのが無難です。取得方法は窓口・郵送・オンラインの3種類で、オンライン申請が最も費用を抑えられます(480円〜)。

有効期限は提出先によって異なりますが、発行後3ヶ月以内が一般的な目安です。なお、法人口座の開設ではGMOあおぞらネット銀行なら登記事項証明書が不要で、書類2点・オンライン完結で開設できます。

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